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(再掲) インスタント超短編小説:「その手は桑名の焼き蛤」 2011年の作品です。

(再掲) インスタント超短編小説:「その手は桑名の焼き蛤」 2011年の作品です。

インスタント超短編小説:「その手は桑名の焼き蛤」

>私の知ってる人にも抗うつ剤を服用してる人が何人か、いましたがその中には自殺してしまった人もいます。つまり、抗うつ剤を飲んでもうつ病は改善されるどころか悪化するんです。

この一文から、RKが超短編小説をあっという間に書きあげます。

学会員A:「ね、うちの馬鹿息子、うつ病がひどくてね、たまんないのよ。まわりに当たり散らして。」

学会員B :「あら、大作クン、たいへんなのね。うつ病って、主な症状が被害妄想らしいわよ。特に家族や周囲の人に当たり散らしたり、電話を掛けまくって出ないとキレて罵倒したり暴れたり。」

A:「そうなのよ。で、神経科で薬をもらってるんだけどだんだん量は増えてきてるのになんだか凶暴化しているみたいで怖いのよ。こんなんだったら、自殺でもしてくれた方が有難いわ。」

B:「ふ~ん。あのさ、ここだけの話。あんたの問題、たぶん解決できるわよ。坑うつ剤のんでいると突然死にたくなって自殺しちゃう人多いのよ。そうすると、保険金とかも入るしさ。」

A:「え、自殺でも保険おりるの?」

B:「保険会社の約款では、加入3年たってればふつうはおりるのよ。それに、あんた、もう私の斡旋で家族みんな保険加入してるじゃないの。」

A:「ああ、そうだったわ。でも、そう都合よく自殺するとも限らないし。」

B:「そん時はそん時よ。なんとでもなるのよ。ウチの学会っていろんな人の出入りがあるでしょ。あっち系の業界の信者さんに頼めば....」

A:「そんな恐ろしいこと出来ないわ」

B:「大丈夫よ。あんたは何もしないでいいの。大作君は、3年後に首尾よく自殺してれくるから。あ、自殺が嫌なら、自然死だって人工的に起こせるのよ。こっちで保険掛け金立て替えるから、言うとおりに保険に加入してくれればいいのよ。あのね、生保協会っていうのがあって、そこに報告が行く下限ぎりぎりの保険金額で沢山加入するの。これなら協会にデータがのこらないから安心よ。うちの学会って、保険の外交員多いでしょ。だから横のネットワークで一度にたくさん加入できるのよ。ほら、山羊っていう学会の保険金詐欺師のケース知ってるでしょ。あの時も学会の外交員の指南役がついていたのよ。すぐに根回ししたから、報道はされないけど。それに法定相続人が受取人ならちょっとぐらい金額が大きくても大丈夫よ。疑われないわ。ねぇ、ほら、隣町の支部の帆茂さん知ってるでしょ。」

A:「ああ、最近御主人突然死してから、凄い家建てたわよね。家族誰もまともに働いていないのに、どういう収入があるのかしら?」

B:「だから~その生命保険なのよ~。あのね~、うちの学会って警察と繋がりあるでしょ。だから、ヤバイ死亡事案でも警察が自然死扱いしてくれるルートがあるのよ、ちょっとお金はかかるけど。それと、893さんへの支払いもあるけどね。」

A:「なるほど、それで、なんだかいい生活してるわけね。あ~うらやましいわぁ。うちの馬鹿亭主も金に換えちゃおうかしら?」

B:「まずは、大作君を換金しましょ。その後3年くらいしたら、旦那の田作さんていうことで。」

3年後、信者Bの娘に誘われて川に遊びに行った大作君は誤って川に転落し溺死したのであった。そして、警察は胃腸に残留している薬物を調べることもなく、自然死のお墨付きを出したのであった。二週間後、大作君を失ったA家では、保険会社の電話を受けたA女が歓喜の雄叫びを上げたのであった。

ちゃんちゃん。